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ワルテル・ベニテス独占インタビューvol.1『近代GKに求められるもの』

フランス1部リーグOGCニースでプレーする、GKのワルテル・ベニテスを知っているだろうか?

抜群の反射神経を生かしたシュートストップでゴールマウスに鍵をかけ、チームの守護神として君臨するアルゼンチン人だ。アルゼンチン、キルメスの育成部門でプレーしていた頃は、控えのGKに過ぎなかったという。

しかし、直向きな努力を続け、ヨーロッパ5大リーグのチームで主力の選手にまで上り詰めた。

そんなワルテル・ベニテスに、メディアコネクトが独占インタビューを行った。自身のキャリアや、プロ選手としてプレーするためのメンタルの作り方、自信のリラックス法などついて語ってもらった。

今回は、全2回にわたるインタビューの1回目になります。

▼ワルテル・ベニテスのプレー集▼

生年月日:1993年1月29日(29歳)
出身地:ジェネラル・ホセ・デ・サン・マルティン(アルゼンチン)
身長:191cm
体重:91kg
在籍チーム:OGCニース
ポジション:GK
背番号:40
利き足:右足
経歴:2011-2016 キルメス(アルゼンチン)/2016-2022 OGCニース

こんにちは。ワルテル・ベニテスです。このコネクトの動画を見ているみんなに、僕から挨拶の言葉を送るよ。今日は僕の挑戦やキャリアについても話すね。気に入ってもらえたら嬉しいです。

–君が若い頃、選手として成長していく過程で、一番大きな挑戦はなんだった?田舎からブエノスアイレスに出てきたとか

僕がまだ子供だった頃に、家族や友達と離れたことかな。田舎から都会へ住む場所も変わったね。

若い頃はそれが一番辛かった。

–君はそれからさらに成長し、アルゼンチンを離れテストを受けたり、代理人が関わってきたり、経済的な問題もあったよね。少し成長した頃の大きな挑戦や夢見ていたことはある?

そうだね。最初は安定したパフォーマンスを維持することだったかな。

サッカー界は知っての通り、大きなお金も動く。そして、さまざまな人たちが近寄って来て、利用しようとしたりする。選手として、人間として成長するにつれて、そういうことに対応していくことも挑戦だと思う。

自分が成し遂げたいことを続けて、集中すること。そして、それ以外のことは忘れることかな。

–難しいよね。君の場合は分からないけど、差し迫った状況の時に、若い選手たちのもとへ、さまざまな人が寄ってくる。それは年々、若い世代にまでおよんできている。だから家族と話し合うことも大切だよね? 誰が信用できる人なのか、誰が悪い人なのかとか

そうだね。だからいつも自分と一緒にいてくれて、自分に良くしてくれる人たちに囲まれていることが重要なんだ。

僕の場合は、子供の頃から今の妻や両親、妻の両親が一緒にいてくれたからね。僕が今日までずっと、好きなサッカーに集中できているのも、彼らの助けがあってのことだよ。

たとえば、選手として上手くいっている時には近寄ってくる人たちがいる。けど逆に、上手くいかなくなると彼らは愛想を尽かすんだ。

–僕はこれでやっていける」「プロになれる」と思ったのはどんなタイミング?「今がその時期だ」「運が向いてきた」とか

たぶん、キルメスの育成部門にいた時だったと思う。控えとしてプレーしていた時、自分の好きな面が見えたというか。トレーニングだったり、規律だったり、自己管理だったり。

あの時、自分がサッカーをやっている理由をつかんだというか、自分が目標とするところへ辿り着くため、やらなくてはいけないことが分かってきた。

目標とする場所は分かっても、それを続けていくことは難しいからね。

–自己管理はどんなことをしている?君にとって必要なこと、不必要なことはなに? たとえば「やることはやるけど、楽しんでやらなくちゃだめだ」っていう若者もいるだろ?

それぞれ自分のタイミングがあるんだ。

場合によっては楽しんでいい時もあるし、皆がしているようなことをする時もある。でも、「食事に気をつけなければいけない」とか「睡眠を十分に取らなくてはいけない」と言う必要があるときもある。

パーティーに誘われても「練習があるから」とか「試合があるから」という理由で「夜はゆっくり休みたい」とか「体調に気をつけないといけない」って断らなきゃいけないこともあるよ。

もちろんその後で時間ができれば、そういうこともする。

–それはどんなスポーツ選手にとっても、簡単なことじゃないよね? 特に遊びたい盛りの少年の頃は。14歳とか15歳の頃は、君の周りのチームメイトや友人にも言われただろ?「そんなに固いこと言うなよ。遊びに行こうぜ!」とか。そういう時、仲間から堅物と思われないように、ギリギリの線で遊ぶのが大事なんだよね

もちろんそうだ。友達も、家族や周りの人たちだって同じだよ。「いいじゃないか、遊ぼうぜ!」とか「あれをやろう!」とか。

そういうことは、少年にとってはごく普通のことさ。でもさっき話した通り、タイミングってものがある。今ならOKとか、今はダメだとかね。そういうメリハリが、自分のキャリアだったり、成長していく過程、ハイレベルなパフォーマンスを維持していくためには必要なんだ。

そういう些細なことに気をつけることが、将来の差となって現れてくる。

–キーパーにとって、メンタル面の準備はどれくらいの重要度なんだい?サッカーにおいて唯一のポジションだし、すごくタフだよね。一瞬でヒーローにも嫌われ者にもなりうる

おそらく、99%メンタル面が大事だね。僕らのポジションは、今あなたが言ったみたいなことを背負わなきゃいけない。

たとえば、起用されない試合が続いても、急きょ出番が回って来ることだってある。そういう時に備えて常に準備しておかなければいけない。そこでビッグセーブをすれば、ヒーローになった気分になれる。だがゴールを許せば、最悪の気分だ。

いつだって頭は冷静に準備できていることが大切なんだよ。

なぜって、それがキーパーというものであり、例外はないからね。一瞬たりとも集中力を切らしてはいけないし、試合に入りこんでいなきゃいけない。

僕たちのプレーは一瞬が勝負だ。そのタイミングで反応しなければ、手遅れとなる。

–スーパーセーブをした時は、ゴールを決めた時のように嬉しい? ディフェンスの選手たちの絆は強いんだよね?

そうだね。1対1を抑えたり、完璧に止めた時は、ゴールを決めた時のように嬉しいよ。

1週間、1ヶ月、チームでの練習でハードワークしてきた成果を見せられたわけだから。

–これまでのキャリアで学んできたことで、君が一番大事だと思うことは?それは誰から教わったこと?あるいは誰かを見本にしている?その見本となる選手の試合を録画して、それを真似したりとかはした?

僕にとって幸運だったのは、ここに来た時、リオネル・レティツィというキーパーコーチと出会ったことだ。彼にはすごく助けてもらった。彼は今、育成部門でコーチをしている。

彼はいつも僕にこう言っていた。「才能があっても、それだけでは十分ではない。一番重要なことは、先に進むために辛抱強くハードワークを続けることであり、決して気を抜かないことだ」ってね。

才能は誰にでもある。だけど、どれだけ練習をし、それに打ち込んできたかによって、その後に大きな差がつく。僕がここに来た時、彼からそのことを教わったんだ。

–良いキーパーというのは、まずはセーブする技術が一番大事だけど、今は足元が上手く、両足を使える選手もいる。技術的に見てキーパーの役割が少し変わってきていると思う。とはいえ、根本は同じなんだよね?

いくら足元が上手く、エリアを飛び出してプレーができても、肝心なセーブが上手くなければ意味がない。

近年、サッカーは大きく変わった。コーチの多くが、キーパーに足でボールをコントロールしたり、フリーの選手を探してパスを出すよう要求する。

僕らはそれに適応しなければならない。今は、これまで以上にフィールドプレーヤーと一緒に練習することが多い。特に試合の前日なんかはね。

To Be Continued…(vol.2の投稿は3/27(日)予定)

▼インタビュー動画はこちら▼

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