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フランク・デ・ブール独占インタビューvol.1『現オランダA代表監督による若手育成論』

ディフェンダーでありながら精度の高いキックを武器に、
名門チームそして長年オランダ代表の中心的存在として活躍。
双子の兄弟(ロナルド)がおり、共に多くのクラブでチームメイトとしてプレイをした。

アヤックス下部組織から1988年トップチーム入りを果たす。
在籍時にはヨーロッパカップ、チャンピオンズリーグとビッグタイトル獲得に貢献。
1999年にはバルセロナへ移籍し、キャプテンも就任した。晩年はトルコやカタールでもプレイ。

引退後は監督業をスタート。古巣アヤックのユースチームから経験を積み、2020年9月からオランダA代表の監督に就任した。

今回は、全2回にわたるインタビューの1回目となります。

生年月日:1970年5月15日
出身地:オランダ
身長:180cm
体重:76kg
ポジション:DF
利き足:左足

経歴:1988-1999 アヤックス/1999-2002 FCバルセロナ/2003-2004 ガラタサライ/2004 レンジャーズ/2004-2005 アル・ラーヤン/2005-2006 アル・シャマル


――あなたは、キャリアの中で多くの経験をしてきました。指導者になった今、それらの経験をもとにアドバイスをしているのですか?

経験という意味では、私は過去に数多くのトレーニングをこなしてきたし、試合経験もある。これまで多くのことを見てきた。
キャリアを振り返った時、今だったら違うことを考え、実行していたかもしれない。
若い選手たちを見ていると、時々僕が経験したことと同じ問題を抱えているように感じる。

私が過去によいと思ってやっていたことが実際によかったのであれば、それを再びやるだろう。
それは才能ある若い選手にもあてはまるからね。
もちろん、彼らには自分に何が起きたか私の経験を伝えている。

だが、私が経験してきたことについて、今ならまったく違うやり方をするだろうと思うこともある。
彼らにはそうアドバイスする。なぜなら、それは私が実際に経験してきたことだからね。

先週、コーチのひとりと話をしていたんだが、我々は17歳、16歳、15歳の選手たちに要求しすぎているんじゃないか?
我々は彼らに既に多く求めすぎているのではないか?我々はすでに高い目標を設定しているのではないか?
彼達はこれらの情報を処理できているのか?

そんなディスカッションを通じて、やはり我々は彼らにそうしたアドバイスをしなくてはいけないと思った。
なぜなら、自分の時代にはそういった経験豊かなコーチはいなかったし、そんなアドバイスはもらえなかった。彼ら自身が知らなかったのだから。
「それいけ。ベストを尽くせ」とか、基本的にはそんなことしか言われなかった。

だが、よりよい選手としてレベルアップするためには、なぜサイドにボールを出すべきかとか、なぜそういう風に体を動かすべきかというような技術的なことも知る必要がある。そういう種類のことは経験豊富な別のコーチならすぐに教えてくれる。
我々はそういうことを教えるべきだと思う。
もちろん、若い連中はすぐに忘れてしまいがちだが、若い頃はそれが普通のことだと思うし、繰り返し伝えることが大事だ。

だから、非常に高いところに目標を設定することは間違っていないと思う。

――若い選手ほど欠けているものはなんだと思いますか?

正確さを求められるような戦術重視の試合においては、ボールをキープする我慢も必要だと考えている。
たとえば0―0のスコアが長く続いた試合で1-0にしようという気持ちが強すぎると、全員ががむしゃらに前へ走ってしまう。
だが、それは決して集中力の欠如ではなく、彼らなりに全力を尽くしていることだ。

だが、彼らがあまりに前のめりに攻めようとしている時は「だめだ。我慢しろ」と言う。
前のボールばかりを追いかけていると、自分たちに隙ができてしまう。
だから、「我慢しろ。ボールを動かせ。そうすればスペースが見える」と言うんだ。
彼らにはそういう種類のアドバイスを送るようにしている。

選手たちは突然気づくんだ。「コーチが言っていた事は正しかった。冷静さを失ってやみくもに走りまくらなかったからゲームをコントロールできたんだ」ってね。ただゴールを狙いたいっていうんじゃダメなんだ。相手の罠にはまってしまう。
相手は、彼らがポジションをはずれてボールを失い、5人の選手がボールを追いかけることに、より後ろに広いスペースができるタイミングを待っているのだから。

そういうことだ。
私はこれまでひたすら守備的にプレーし、ここぞという時に一発を狙うような対戦相手と数多く戦ってきたが、我々のチームは常に彼らを上回っていた。
しかし、いつだって我慢は必要だった。それがなければ相手の罠にはまる。

我々がやろうとしていることは、彼らにそういうアドバイスをしてあげること。
そういうことを考え実行していくことがプロの選手になるということだからね。
17歳ぐらいの時は全員がプロになりたいんだ。
だが、多くの選手は、そのために何を犠牲にしなければならないか、そのために何をすべきかに気づかない。

名前は出さないが、現在18歳のある才能に満ちた選手に私はこう問いかけたことがある。「君は鏡の中の自分を見たかい?」とね。
「もし鏡を見たのなら、君はすでに自分がアヤックスのトップチームに入って当然だと思っているだろ?君の持つクオリティならそこにいるべきことは疑いない。

なぜなら、君は僕が持っていなかったクオリティを持っているからね。
でも、今の君はまだそこから遠いところにいる。
だが、すでにそこでプレーしている君のライバルやチームメイトと比べても君はそこに行くだけのクオリティを持っているし、それどころか彼らより前を走っていても不思議じゃない。
でも、君はまだそこに行けない。近づいてもいない。今君は、“当たり前のこと”にトライしなければならないんだ」

それが彼を助けるんだ。私は彼のために役に立ちたいし手助けしたい。
だが、そういう“当たり前のこと”こそが彼に多くのことを与えてくれるんだ。
彼らの中にはただ寝て才能を無駄にしている者も多い。失っているものの重要さに気づいていないんだ。

▼インタビュー動画はこちら▼

To Be Continued…(vol.2は2021/1/3(日)投稿予定)

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